スポッターズ的ひこうき写真館 軍用機
アメリカ空軍 135シリーズ 空中給油機 空中給油型が一番機数が多く、日本にも沖縄県嘉手納基地に飛行隊が配備されている。 KC-135A ベーシックモデルとして732機生産されたが、現在ではほとんどが他のモデルにコンバートされたためKC-135Aと呼ばれる機体は保存展示機、保管機以外では存在しない。 KC-135Aの燃料搭載量は、翼内、胴体床下のブラダー(ゴム袋型)タンク、胴体最後部タンク合わせて3万1,296ガロン(約11.8万リットル)という大きなもので、短距離進出して自己用を除く全てを給油にまわすことも、長距離進出して一部を給油(5,550km進出しても3,690ガロン給油可能)することもできるため、作戦の柔軟性が大きく拡大された。 また燃料移送率は、大型機向けには胴体前後部タンク同時使用により毎分900ガロン(3,407リットル)、小型機向けにはどちらか片方のタンク使用により毎分400ガロン(1,514リットル)給油できる。 なおプローブ・アンド・ドローグ式受油装置しか持たない海軍/海兵隊機、あるいは多国籍軍機などに対しては、ブーム先端にホース/ドローグ・アタッチメントを地上で装着することにより給油が可能となる。 KC-135は燃料タンクが最後部のものを除けば全て翼内と床下に設けられているため、輸送機としても高い能力を発揮できる。 メインキャヒンは全長20.7m、幅3.35m、高さは2.13mで、胴体前部左側に幅2.97m、高さ1.98mのカーゴドアを持ち、最大38トンもの貨物を搭載できる。 また兵員であればキャビン両側のジャンプシートだけで80名、兵員輸送仕様改修を行えば126名を運ぶことが出来る。 タンカータイプKC-135は現在までに全てエンジン換装型のE、R、T型にコンバート済みだが、その間に多くの近代化と寿命延長改修が実施された。 主なものとしては、クラック探知音響システム搭載、主翼下面外板を高強度のアルミ含金に交換、INS(慣性航法装置)/ドップラー航法システム搭載、垂直尾翼後端への給油ライト追加、デジタルコックピットへの改修などが実施されている。 KC-135Aは、名称変更されないまま、他の任務を遂行できるよう改造された機体が多数存在した。 それらは空中給油装置を残したままでアンテナを増設したり、キャビン内部を改造したものが多く、代表的なものとしてはABNCP(空中司令部機)、VIP(要人輸送機)、無線リレー機、テスト機が挙げられる。 KC-135AのABNCPは、冷戦時代ソ連の核奇襲攻撃によりSAC地上司令部組織が壊滅した時に備え、通信装備を強化した機体を24時間在空させて指揮命令系統の生き残りを図る「ルッキング・グラス作戦」のために作られたもので、20機以上作られたとされる。 胴体上下にブレードアンテナ、両翼端にHF(短波)プローブアンテナが増設された。 ルッキング・グラス作戦は1961年2月3日からオファットAFB 385SW(戦略航空団)のKC-135A ABNCPによって開始され、その後EC-135型に引き継がれ1990年7月まで続けられたのである。 KC-135A VIPは非公式にはVKC-135Aと呼ばれ、軍団司令官乗機などとして多数が使われた。 カーチス・ルメイの乗機55-3126や、その後SAC司令乗機となった57-2589、PACAF司令乗機61-0310、ストライク・コマンド司令乗機の61-0316などがこれにあたる。 無線リレー機としてはベトナム戦争中に使用されたKC-135Aコンバット・ライトニング(KC-135A VIIとも呼ばれた)があり、胴体上下に多数のアンテナを装備するのが特徴だった。 これらは後に通常のKC-135Aに戻され、さらにKC-135E/Rにコンバートされた。 KC-135Aの名称のままテスト機として使用された機体も少数あって、例えば前記の55-3126はルメイ専用機の後、電子装備試験「スペックルド・トラウト計画」(後に61-2669に交代)に使用された。 またNASAのゼロG試験機、FAAのフライトチェック試験機などもこの範中に入る。 KC-135B TF33-P-9ターボファン装備型としてFY62とFY63に17機発注されたモデルだが、完成後ABNCP仕様に改造されEC-135C、EC-135Jとして引き渡された。 KC-135D 4機作られたRC-135Aを1979年に空中給油型に改造したモデル。 1990年にエンジンをJ57-P-59WからTF33-PW-102に換装したが名称は変更されていない。 通常のA型とは装備に違いがあるため、これら4機は常に同じ部隊で運用されており、2003年現在はカンザスANG 117ARSに配備されている。 KC-135E KC-135AのJ57エンジンは燃料満載、高温時には出力不足であり、ターボジェットで燃費も悪いことから1982年以降エンジン換装計計画が進められた。 当時ANG、AFRESに所属していた機体は、民間で余剰となっていたB707-320B/CのJT3D-3(軍用名TF33-PW-102)に換装され、KC-135Eと改称された。 なおエンジン換装と同時に水平尾翼もより大型のB707のものに換装された。 KC-135Q SR-71用の低揮発性特殊燃料JP-7を給油可能とした改造型で56機作られた。 SR-71とのランデブーを確実にするため航法・通信システムが強化され、アンテナも増設されたが、外見上はA型とほとんど区別がつかない。 現在はエンジンをTF33に換装したKC-135Tとなっている。 KC-135T KC-135QのエンジンをF108に換装し、KC-135Rと同じ改修を加えたモデル。 なお電子偵察機だった55-3121も1969年から1971年にかけてKC-135Tと呼ばれていた。 KC-135F、KC-135FR フランス空軍向けの空中給油機 KC-135R 1982年に始まったKC-135Aのエンジン換装計画は、E型と並行して、SAC所属機に対してはGE・SNECMA F108-CF-100(CFM-56、推力9980kg)に換装してKC-135Rとする改修が進められた。 KC-135Rはエンジン換装と同時に、水平尾翼の大型化、電気/油圧系統のリニューアル、降着装置とブレーキの強化、APUのダブル装備(クイックエンジンスタート)、エンジンコントロールと操縦系統の更新などの改修も実施され、2020年までの運用が可能となった。 なおKC-135Rという名称は、1960年代に詳細不明の電子偵察機(一部の機は背部にタオルバー型アンテナ装備)に改造されたKC-135A、5機にも与えられており、リエンジン型に再度使用された。 KC-135A II 「オフィス・ボーイ」 型式名はKCだが、1961、1962年に3機のC-135A(60-0356、60-0357、60-0362)を改造して作られたSIGINT機。 延長されたノーズレドームと前部胴体側面の長いアンテナフェアリングが外見上の特徴である。 1962年12月アラスカ・エイルスンAFBの4157SW(戦略航空団、1967年3月に6SWと改称)に配備され、ソ連、中国に対する戦略SICINTミッション「コットン・キャンディ作戦」を開始、1965、1966年に電子偵察装備を更新してRC-135Dとなった。 KC-135R このR型は円F108ターボファン換装型とは別機で、1967年から1969年にかけて4機のKC/JKC-135A(55-3121、58-0126、59-1465、59-1514)を特殊な電子偵察機に改造した機体を指す。 KC-135T KC-135R(55-3121)を1969年に改造した電子偵察機で、KC-135QのF108換装タイプとは別機。 1971年にRC-135Tとなる。 空中指揮機、無線中継機へ 試験機などへ トップへ 135シリーズ目次へ アメリカ空軍目次へ |