東京海洋大学 品川キャンパス(旧 東京水産大学) 東京都 港区 港南 4-5-7 北緯35度37分31秒 東経139度44分58秒 |
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雲鷹丸は、東京水産大学の前身、農商務省水産講習所の第2代練習船である。 初代練習船である快鷹丸(木造帆船 総トン数137.66トン)からその用務を引き継ぎ、1909年5月30日出帆の第1次航海から1919年8月までの約20年間就航した。 第33次航海を終了後に第3代練習船 白鷹丸(鋼製汽船 総トン数1,327.78トン)に実習航海を引き継ぎ、当時の所在地であった越中島岸壁において係留練習船として学生の実習に供された。 第二次世界大戦終了後の混乱期を経て、さらに学舎の移転などの諸事情により整備・管理が不充分なまま放置されていたが、昭和37年に喫水線上部の船体がこの展示場所に移設され、マスト・ヤードなどの復元、船体および設備などの補修が加えられた。 雲鷹丸は、学生の教育・実習を目的とした練習船であったが、試験操業、海洋調査など多目的の調査研究船としての機能をも兼ね備え、北洋および南洋海域を含む広大かつ長期にわたる遠洋航海の航跡を残し、日本の水産業の発展・振興に多大なる貢献をした。 これらの実績が評価され、船体の保存という形で継承されている。 雲鷹丸で実習航海を終了した600余名の卒業生は、練磨された操船法・漁法のほか、基礎的な学理に基づく技術革新の知識を習得し、実社会に送り出された。 そして、彼らは、日本の漁業界を啓発主導し、幾多の功績をあげ、社会・産業の発展に大きく寄与した。 また、搭載された最高水準の魚撈および観測機器による調査研究の成果は、海洋・漁場などに関する科学の基礎を確立するとともに、操船技術の革新、漁具、漁法の改良、開発などに活用された。 また、船体構造、材料および艤装仕様ならびに運用要領などは、現在も貴重な海事史的価値として評価されている。 雲鷹丸は、1998年12月11日付けで文化財保護法の規定に基づく登録有形文化財に登録され、東京水産大学の教材・研究試料としてのみならず、国民全体の文化遺産として保存されている。 |
主要緒元 |
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長さ | 41.2m | |
幅 | 8.7m | |
深さ | 5.0m | |
総トン数 | 444.25t | |
最大搭載人員 | 職員 | 15人 |
部員 | 26人 | |
学生 | 40人 | |
搭載艇 | 6艇 | |
造船所 | 株式会社大阪鉄工所 桜島工場 | |
竣工 | 1909年5月12日 |