スポッターズ的ひこうき写真館 飛行機
最新鋭の戦闘機・攻撃機 中国 殱撃20 成都 2010年12月29日にインターネット上で、中国の新戦闘機、殲撃20型(J-20)の写真が公表された。 この戦闘機の開発を行ったのは成都航空機(CAC)で、2010年12月20日に成都の工場で行ったタキシー試験に際して撮影されたものだとされ、すでに2機(2001と2002)が完成しているともいわれるが、公開された写真はいずれも(2001)であった。 機体は大型の双発単座戦闘機で、平面形はよく分からないが、無尾翼デルタに全遊動式のカナード翼を付けた機体構成で、垂直安定板は2枚あって外側に傾けられており、その下側にはほぼ同じ角度で外側を向かせたベントラル・フィンが左右に付いている。垂直安定板には方向舵はなく、これも全遊動式で動くことで操縦を行っている。 全体的な設計は、カナード翼が付いていて水平安定板がない点を除けば、アメリカのF-22やロシアのT-50(PAKFA)と共通している部分も多く、高いステルス性を持たせることを主張にした設計となっている。 機体の色は黒に近い濃緑色で、レーダー波吸収素材でのコーティングが行われているとの見方もある。 周囲のものなどと比較して寸法を推測すると、全長は23m程度ありそうだが、機首のプローブを外せば21〜22m程度と推測される。 また正面から撮影された写真を見ると、翼幅は余り広くなく、全幅は14〜15m程度と思われる。 F-22が全幅13.56m、全長18.92mなので、全幅はF-22よりわずかに広く、全長はかなり長い機体ということになる。 またT-50が全幅13.95m、全長19.40mといわれているので、寸法面ではこちらに近いが、それでも全長はかなり長い。 正面からの写真で主翼の下に見える膨らみは、フラッペロンのトラック・フェアリングであろう。 ステルス性を重視するのであれば、兵器類は機内の兵器倉に搭載することになるが、前記したように全長が長いためそのスペースを充分に取ることができ、また加えて大きな燃料タンクスペースも確保できていると考えられる。 エンジンは、ロシアのリューリカAL-31Fかその発展型である99M2といわれ、写真を見る限り排気口には推力変向機構は付けられていない。 ただ機体規模から考えるとこれらのエンジンでは推力不足で、中国ではJ-20用にWS-15ターボファンを開発しているとされている。 量産型が作られることになれば、このエンジンを装備することになるのだろう。 興味深いのは空気取り入れ口で、固定式で菱形をしている点はF-22やT-50と同じだが、F-22とT-50では境界層を逃がすための隙間が機体との間に設けられているのに対して、J-20ではそれがなく、また胴体側に膨らみが設けられている。 これは、F-35やJ-10B、FC-1などと同じダイバートレス・インレットと呼ばれるものだが、高速飛行には向いておらず、最大速度がマッハ1.6程度にしかならない。 J-20は高速性も求められると思われるのだが、こうした空気取り入れ口を使用している理由は不明である。 搭載する電子機器についても全く不明だが、J-20用にタイプ1465(KLJ5)という、アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーが開発されているようだ。 またコクピットは、完全なグラス・コクピットになっているという。 キャノピーは一体式で、F-22と同様に後ろヒンジ式で開く。 操縦装置は、4重のデジタル式フライ・バイ・ワイヤと見られている。 高速タキシー試験の写真では、その制動にドラッグ・シュートを使用している。 ドラッグ・シュートは、後部胴体上面中央にある。 また、主脚扉の前縁部と後縁部には細かなギザギザがあり、これもステルス性を重視している一つの証と言えよう。 タキシー試験に続き、2011年1月11日には15分間の初飛行を実施したというニュースも飛び込んできた。 この機種が実用化されるかどうかは定かではないが、就役するとしても2017年〜2019年頃になるとの見方が強い。 また、第5世代戦闘機としての要件を部分的にしか満たしていない設計であり、最大の問題はステルス性達成に最も障害となり易いカナードを備えていることであり、更に中国独自開発のエンジンでは超音速巡航が困難であると考えられている。 いずれにしても、中国がこうした戦闘機を開発する技術力を示したことは、注目に値する。
トップへ 戻る
|