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アメリカ海軍機(EP-3E) 中国軍機と接触

軍事機密の固まりである(EP-3E)と秘密主義の権化(中国軍)の接触事故と言うこともあり、真相は藪の中へと消えた。


この事故において米中で共通する事項は以下の通り。

1.2001年4月1日午前9時7分に南シナ海上空において、アメリカ海軍のEP-3Eが偵察中に中国空軍のF-8戦闘機と接触した。

2.EP-3Eは左側外舷エンジン(第1エンジン)と左翼下面アンテナを損傷、機首のレドームもはずれ、中国領海南島の陵水飛行場へ緊急着陸した。
乗員24名は中国軍側に拘束された。

3.衝突したF-8は、姿勢を回復することなくそのまま南シナ海へ墜落した。


米中で対立する事項は以下の通り。

1.事故当時のEP-3Eの領空侵犯の有無は?

2.接触事故を「仕掛けた」のはどちらか?


争点の検証

1・・・威力偵察と呼ばれる手法で、相手の防空システムにちょっかいをかけて、その反応を見る(記録する)のが目的なので、領空ギリギリを飛ぶことはよくある事。

逆に言えば、よくやっているからこそ、その辺の境界線上の綱渡り的な飛行は慣れているはず。
今回たまたま外れて、領空内に入ったと考えるのは難しい。

同じ入るなら、もっと攻撃を受けにくい(大気圏ギリギリで飛ぶとか、高速で突っ走るなど)機体で行うのが常識的だろう。

2・・・中国政府の出先通信社である新華社がわざわざ順番をつけて解説しているが、これも俊敏な戦闘機と、鈍重な旅客機上がりの偵察機では、運動性に明らかな差がある。

よって「仕掛けた」のも中国側と考えるのが素直だろう。


何を偵察していたのか?

EP-3Eの任務は、相手の出方を見る偵察である。
よって新型の兵器が登場したり、実験があったりすると、その周りに出没して、通信、兵器誘導、捜索に使われる電波の情報を集めて記録し、持ち帰って解析する。

今回その対象になったのは、新型の駆逐艦らしい。
旧ソ連のソブレンメイ級で、中国が持っている艦艇では最新型となる。

もうひとつ説は、中国が近くウイグル地区のロプノールで地下核実験を行うからだったというものもある(2001年4月9日付ワシントンポストより)。

いずれにせよ何かありそうなら行くのが情報収集の鉄則だから、普段は三沢基地にいるVQ-1所属のEP-3E(PR32番機)も嘉手納に展開して、南シナ海に出張ったわけである。


EP-3Eに搭乗していた24名中3人が女性(海軍22人、海兵隊1人、空軍1人)

暗号解読・分析の専門家8人
これら専門家は暗号解読や偵察機が集めた情報の分析を専門に担当していた。
偵察機には最先端のセンサーや衛星アンテナなどの電子機器が搭載され、レーダーや無線電話、他の電子通信信号の発信源特定や、周波数の探知を行っていた。

中国軍機と接触したEP-3E(PR32)の実機


PR32  EP-3E
2000.07.01  厚木基地


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