展示されている気蓄器(空気ボンベ)は、特殊潜航艇「甲標的」の舵を駆動する空気圧式操舵装置に空気を供給するために艦首部分に装備されていたものである。 艦船の操舵装置は油圧式が一般的であり、潜水艦の旋回を担う縦舵及び仰角を担う横舵の操舵装置も同様に油圧式となっているが、「甲標的」は船体を小さくするための工夫のひとつとして、操舵装置を簡素で小型な空気圧式とし、操舵用に気蓄器2基が装備された。 しかし、空気圧式操舵装置は、気蓄器の空気が尽きれば、舵が使用できなくなるという弱点があり、舵を頻繁に使用することが予想された真珠湾攻撃に参加した「甲標的」には推進動力用の電池の一部を降ろして操舵用気蓄器5基が増設された。 真珠湾攻撃後、「甲標的」は、行動時間延長のための改良が加えられ、その一つとして、小型ディーゼルエンジン式発動機の開発、装備に伴い、縦舵の操舵装置のみは、空気圧式から電動ポンプ油圧式に変更された。 なお、横舵は空気圧式のままとなっていた。 |
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